居酒屋での話

サラリーマンの居酒屋話です。

書評:日本人の9割が知らない遺伝の真実/安藤寿康

■「人間は遺伝子を運ぶ方舟である。」
人間の生命体としての存在意義はここにある。ある人は本能と言うかもしれない。
子供を生むことを前提としているので、ある人は差別だと感じるかもしれない。
でも、それは生命体の基本的な現実なのだ。「自分が今ここにある」現実は、まさにこの結果であって、
それを証明しているので、誰も否定できないと思う。
性的な嗜好や精神的、身体的な病気、もしくは外的環境や経済要因によって、遺伝子を運べない人も、
自由意志の選択として遺伝子を運ばない人もいる。

なぜ、少子化なのか。

個人的には社会要因、経済的な要因が大きいと考えている。
簡単に言えば、子供を産み育てることに経済的なメリットを感じないのだ。
かつては、子供を産み育てることは、経済的な要因よりも幸福の条件として認知している人が多かった。
やや古いタイプの僕もそうだ。
自分の子ども誕生し、育てていくそのときその時の経験や感情こそが、人生の喜びだと思うからだ。


そして、それは金では買えない自分の人生の喜びだ。
でも、これこそが「人間は遺伝子を運ぶ方舟」なのだ。

 

■「ロビン・ダンバーによれば安定した社会関係を結ぶことができる人間集団は

平均150人程度」という。
今や、SNSやブログでフォロワー数千人、数万人というネット情報社会が生まれ、
150人等と比較できないほど人間の関係性が膨張している。
しかし、ハードウエアである私達の身体は20万年前からほとんど進化していないというので、脳の能力、つまり認識力や判断力にとっては、

これまでとは違った要素が必要とされている。
つまり、全く新しい領域に入っているのだ。

はたして、人間関係の膨張が幸福と結びつくのか?
たんなる金儲けと割り切れる人もいるのかもしれないけど、行末を見ていきたい。

■「学力の70%〜90%は子ども自身にはどうしようもないところで決定されてしまっている。」
自己責任を声高に主張する人もいますが、人の能力の半分は遺伝、残り半分は非共有環境によって形作られている。

 

これは恐ろしい現実だ。努力して勉強すればできるようになると、親から、教師から言われ。
世の中の常識だと思っていたけど。真実は違っていたのだ。
では、どう生きれば良いのか?
答えが知りたい人は、ぜひこの本を読んで欲しい。ここにこの本の本質がある。

 

■「ワーキングメモリー
この概念は初めてこの本で知った。
例えばだが、チンパンジーのワーキングメモリーは基本的に一つで、同時に一つのことしか考えられない。
ワーキングメモリーが増えて行くと言うのは、次のように考える。
「太郎は花子が好きだ」はワーキングメモリーがー一つ。「太郎は花子が好きだ」と次郎が言ってたよ。
そして、「太郎は花子が好きだ」と次郎が言ってたよって三郎は聞いたそうだ。とワーキングメモリーが増えて行く。

 

ワーキングメモリーの拡張こそが人間の能力の特色だと思う。
この概念をどう消化するのかは、まだ未知だけど新しい考えた方として、

これからのAIやIoTの活用に有効だと感じた。

以上面白そうなとこ抜粋してみた。

日本人の9割が知らない遺伝の真実 (SB新書)