ゼロハリバートンのスーツケースの思い出
コンピューター周辺機器のメーカーで営業をしていた。サンプルのデモ機を客先に持ち込んで売込み、お客の企業のブランド名で製品化して貰うOEM営業だ。サンプル機を運ぶのに、当時はそんなにも有名でなかったゼロハリバートンの営業をを呼んで、運搬用のケースを作って貰っていた。サンプル機の寸法を計測してクッション材を中に仕込んでもらう。これを持って、東北、北陸、大阪、九州など実に多くの出張をしたものだ。
ある日、先輩社員が横浜駅近くの自分の客に売り込んであげるから、サンプル機を持って来てくれ言う。僕たちは駅近にある横浜銀行の前で待ち合せ、ゼロハリバートンのスーツケースを横に置いて待っていた。しかし、先輩社員はなかなか来ない。
そのうち、横浜銀行の社員通用口が空いて、社員がこっちをじっと見てる。
何かなぁと思ったけどほっといたら、違うやつが出てきてまたこっちを見てる。
なんかヤバイのかなぁ、と思っていたら、バラバラと銀行員が数名出てきて、こっちに向かって来る。やっぱりヤバイってすぐにハリバートンを転がして走るように逃げた。
かなり離れてから横浜銀行を見ると、5〜6人出てきてウロウロしているのだ。しかも警察官まで来てるじゃないか。
こんなところに待ち合わせを指定した先輩を恨んだ。
それで、しばらくすると先輩が遅れてやってきて、自分の遅刻を棚に上げて、なぜ横浜銀行の前にいないんだって怒るのだ。それで、事情を話すと先輩は涙を流さんばかりに笑い転げた。
皆さん、くれぐれもゼロハリバートンのスーツケースを持って金融機関の前をうろつかないように気をつけて下さい。
※イメージ