居酒屋での話

サラリーマンの居酒屋話です。

書評:コロナ後の世界

コロナ後に日本の社会はどのように変わっていくのか。
世界の知の巨人たちへのインタビュー集。ジャレド・ダイアモンドポール・クルーグマン、スコット・ギャロウェイ、リンダ・グラットン、マックス・テグマーク、スティーブン・ピンカーとそうそうたるメンバーだ。

今やちょっとした評論家やコメンテーターたちが、

コロナ後の世界を盛んに語り始めている。
それなりに興味はあるが、歴史や社会の見方での奥深さや専門性からの未来を感じるのにこの本は最適だ。
そう量のある本ではないのでサクサク読める。

個人的に一番参考になったのは、スコット・ギャロウェイの見方だ。

「the four GAFA」の未来版として納得性がある。

次のGAFAについても言及してサービスしている。
ポール・クルーグマンの経済の未来予想はリフレ派に寄り過ぎているけど興味深い。
マックス・テグマークのAIの未来も読ませる。

これからは必ずAIとの協調が必須になる。
人類はAIをコントロールしていけるのか?恐ろしい未来だけど完全否定できる人はいないだろう。
ジャレド・ダイアモンドには大きな期待をしたけど、やや残念だった。日本の歴史への視点と中韓への対応示唆については、疑問が残る。
ドイツとポーランドの関係と単純比較もいただけないが、

何か読み違えているのかもしれない。
悪意ある外交を受け入れるのはグローバル時代では、
世界の他の国から場当たり的で無責任に見えて大きなリスクとなるのだ。
リンダ・クラットンは、働き方について、

日本の労働市場は女性の参加が鍵になるとの見解。
スティーブン・ピンカー認知バイアスでのマスコミ、

メディアのあり方に疑問を投げかけ、
エネルギー課題についても、規制よりも新しいクリーンエネルギーに目を向けるべきだと言う。

全体を通して「レジリエント」が今後のキーワードになると感じた。
柔軟で強靭という意味だけど、言ってみれば虚弱性の反対の概念だ。

ブラックスワンの著者のナシーム・ニコラス・タレブブラックスワンに対抗する手段を提示した「反虚弱性」という本には、虚弱性の反対概念として、全く新たな理論が展開されている。つまり、剛健だとか頑強なのは、ブラックスワンに弱いというのだ。混乱や価値転換があっても柔軟に対応していく強さが必要であり、
そう単純な話ではない。

興味がある方はどうぞ。上下巻で読み応えあります。