居酒屋での話

サラリーマンの居酒屋話です。

酒場評論:悪人

「悪人」は吉田修一著作で2007年に出版、映画は2010年に公開。主演は妻夫木聡。他に深津絵里満島ひかり柄本明等。

映画を先に観た。さまざまなテーマが実に奥深く心に焼き付いた。祐一(妻夫木聡)は気弱で無口だけど、ひたむきに人を愛する優しさもある。感情表現が不器用な点が重要なキーでもあります。しかし、こういう人はどこにでもいるだろう。

私、この国道沿いの学校行って、国道沿いのお店で働いて、結局この国道沿いで人生が過ぎていくんだ、みたいなことを光代(深津絵里)が言う。

日本の地方都市の退屈さがそこにはあると思う。そこでどんな出会いがあるというのか?その退屈さのあまり、人と繋がりたくて携帯の出会い系サイトで祐一と知り合う。

祐一も同じなのだ。自分を見ていて欲しいし自分を認めて欲しい。自分を大切だと言って欲しいのだ。その渇望の心の叫びが聞こえる。

では、都会に住む人は人はそんなに簡単に、本当に大切な人と出会えるものだろうか。

その人が笑っていれば幸せ。その人のことを考えると心が暖かくなる。そんな人がいるのか?そんなセリフがあるが心に突き刺さる。

映画はほぼ原作に忠実に描かれておりイメージのズレもほぼ無いと思う。でもこれは先に映画を観たのでバイアスがかかっているのかもしれない。

映画を観て、無性に原作小説が読みたくなった。

映画にはないディティールがあり楽しめたし、その部分は映画のイメージで僕の頭のなかで自然に再現された。

これも映画が素晴らしかったからだと思う。

ちなみに小説を読んでいると、九州弁にハマります。