酒場評論:白夜行
東野圭吾の1999年の長編小説。2006年にTVドラマ化、2011年に映画化されている。幼い頃の殺人事件の秘密を共有する二人の成長を通した物語だ。
僕はこの順番で読んでから観ている。文庫本は綴じられるギリギリサイズの厚さではないだろうか?非情に分厚い本で持ち歩きにくいが、電車では誰しもが"凄い"と驚く厚さだ。それだけの分量のある内容なので、ドラマにしろ映画にしろ制限時間内にまとめるのが難しいと思う。
ドラマは、全11話。主人公を綾瀬はるかと山田孝之。綾瀬はるかの美しさはこの頃がピークだったかもしれない。観るひとすべてを魅了し目が離せない。また、複雑な精神変化を見事に演じきっている。山田孝之は心の傷があり屈折しているが頭脳明晰でいて愛する人にすべてを捧げる青年にも心を奪われる。脇役は武田鉄矢、八千草、渡部篤郎などで豪華で華もあるベテランの仕事できっちりディテールを構成している。
映画は2時間以上の長編。主人公は堀北真希と高良健吾。刑事役に船越英一郎。原作小説に近いニュアンスをキープしているが、この時間に治まらず重要なエピソード等も入らず、ストーリーの短絡もはげしい。小説やドラマを観た人ならついていけるが、初めて見る人には理解が難しいと思う。刑事役に船越英一郎という段階で映画というよりも2時間ドラマっぽさが出てしまうが困った。
さて、僕の一番のお薦めはTVドラマだ。原作にはない二人のエピソードや心の変化を描いている点で、原作への忠実さは下がる。しかし、その部分で原作を上回る感動がある。特に最終話は涙なしには見られない。綾瀬はるかの美貌と底知れぬ強さや山田孝之のナイーブな傲慢さ。柴咲コウの歌う主題歌にもしびれる。
できればもう一度見ようかと思っている。