居酒屋での話

サラリーマンの居酒屋話です。

酒場評論:八日目の蝉

角田光代の2007年の小説。映画は2011年。出演は、井上真央永作博美小池栄子。2010年に、檀れい、北のきいでTVドラマ化されているようだが観ていない。

原作を読んでから映画を観たパターン。

小説を読み始めると喜びに打ち震えた。小説らしい小説なのだ。ホームランバッターが出てきてきちんとホームランを打つ喜び。その期待感、ワクワクの来るぞ、来るぞ感がある。途中ややあり得ない展開もあるが、素直に感動できる小説だ。

子どもに対しての惜しみない愛情とそれに応える子ども側からの愛情は一貫している。そこにこの小説のテーマがしっかり流れている。

読んでいる途中小豆島に行きたくて仕方なかった。そのあたたかく優しい日差しの中でただ、ただ佇んでいたくなる。

映画は、自分にとっては観ないほうが良かった。小説の中で作り上げたイメージが完全に崩れてしまった。あの想像していた小豆島のイメージを返して欲しいのだ。

小豆島を舞台にした2ラブレターと言う昼ドラマが素晴らしかった。勝手にそれを想像して期待があったのかもしれない。

八日目の蝉

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酒場評論:イニシエーション・ラブ

乾くるみの2004年の小説。映画は2015公開、堤幸彦監督で主演は松田翔太、他に前田敦子木村文乃

実はまだ映画は観ていない。正確に言うと観るつもりは今のところ無い。原作は約30年前の恋物語がそのまましっかり詰まっている。あの頃の空気を知っている世代には胸が一杯になってしまうだろう。男女の出会いでの感じ方や仲良くなっている段階、そして仲良くなってからの展開。なかなか読み止めることができなくなって、一気に読み込んでしまう。そしてTV、音楽、流行りモノなど数々の懐かしい文化が背景に散りばめられ、いちいち懐かしさに胸がキュッとなる。みんな若くて今よりもやたら元気で、それでいて何か足りなくて、その何かを求めてあえぐように毎日を送っていた。一番大切な人に出会えた時の踊るような、それでいて静かに澄んだような気持ち。

もう少ししたらもう一度読み直したい。映画は自分のイメージを崩してしまいそうなのだ。もう一回読んだら観るかもしれない。

イニシエーション・ラブ

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酒場評論:悪人

「悪人」は吉田修一著作で2007年に出版、映画は2010年に公開。主演は妻夫木聡。他に深津絵里満島ひかり柄本明等。

映画を先に観た。さまざまなテーマが実に奥深く心に焼き付いた。祐一(妻夫木聡)は気弱で無口だけど、ひたむきに人を愛する優しさもある。感情表現が不器用な点が重要なキーでもあります。しかし、こういう人はどこにでもいるだろう。

私、この国道沿いの学校行って、国道沿いのお店で働いて、結局この国道沿いで人生が過ぎていくんだ、みたいなことを光代(深津絵里)が言う。

日本の地方都市の退屈さがそこにはあると思う。そこでどんな出会いがあるというのか?その退屈さのあまり、人と繋がりたくて携帯の出会い系サイトで祐一と知り合う。

祐一も同じなのだ。自分を見ていて欲しいし自分を認めて欲しい。自分を大切だと言って欲しいのだ。その渇望の心の叫びが聞こえる。

では、都会に住む人は人はそんなに簡単に、本当に大切な人と出会えるものだろうか。

その人が笑っていれば幸せ。その人のことを考えると心が暖かくなる。そんな人がいるのか?そんなセリフがあるが心に突き刺さる。

映画はほぼ原作に忠実に描かれておりイメージのズレもほぼ無いと思う。でもこれは先に映画を観たのでバイアスがかかっているのかもしれない。

映画を観て、無性に原作小説が読みたくなった。

映画にはないディティールがあり楽しめたし、その部分は映画のイメージで僕の頭のなかで自然に再現された。

これも映画が素晴らしかったからだと思う。

ちなみに小説を読んでいると、九州弁にハマります。

酒場評論:白夜行

東野圭吾の1999年の長編小説。2006年にTVドラマ化、2011年に映画化されている。幼い頃の殺人事件の秘密を共有する二人の成長を通した物語だ。

僕はこの順番で読んでから観ている。文庫本は綴じられるギリギリサイズの厚さではないだろうか?非情に分厚い本で持ち歩きにくいが、電車では誰しもが"凄い"と驚く厚さだ。それだけの分量のある内容なので、ドラマにしろ映画にしろ制限時間内にまとめるのが難しいと思う。

ドラマは、全11話。主人公を綾瀬はるか山田孝之綾瀬はるかの美しさはこの頃がピークだったかもしれない。観るひとすべてを魅了し目が離せない。また、複雑な精神変化を見事に演じきっている。山田孝之は心の傷があり屈折しているが頭脳明晰でいて愛する人にすべてを捧げる青年にも心を奪われる。脇役は武田鉄矢、八千草、渡部篤郎などで豪華で華もあるベテランの仕事できっちりディテールを構成している。

映画は2時間以上の長編。主人公は堀北真希高良健吾。刑事役に船越英一郎。原作小説に近いニュアンスをキープしているが、この時間に治まらず重要なエピソード等も入らず、ストーリーの短絡もはげしい。小説やドラマを観た人ならついていけるが、初めて見る人には理解が難しいと思う。刑事役に船越英一郎という段階で映画というよりも2時間ドラマっぽさが出てしまうが困った。

さて、僕の一番のお薦めはTVドラマだ。原作にはない二人のエピソードや心の変化を描いている点で、原作への忠実さは下がる。しかし、その部分で原作を上回る感動がある。特に最終話は涙なしには見られない。綾瀬はるかの美貌と底知れぬ強さや山田孝之のナイーブな傲慢さ。柴咲コウの歌う主題歌にもしびれる。

できればもう一度見ようかと思っている。

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酒場評論:映画と原作小説

読んでから観るか?観てから読むか?人によって好みもある。内容や映画の出来栄えによって違いもある。

僕は読んでから観る方だ。先に映画を観てしまうと、どうしても俳優や風景場面などのイメージが固定化してしまう。原作小説を読む際にイメージが限定されてしまう。でも映画が良く出来ていたから、原作小説を読みたくなる場合もある。その場合は両方満足できる場合が多いと思う。逆に原作小説を読んで、映画も見たくなった場合、かなりの確率でガッカリする。約2時間弱の映画では、小説の中の細やかな設定が描き切れない。そのフラストレーションが多分、作り手にも観る側にもあるのだと思う。評判になった小説の映画化と言うのは興行的な成功を狙ったイージーな手法のようにも思える。映画にする必要があるのか?と。

 

 

販売促進の基本:ブランド

ブランドにはさまざまなパワーがありますが、
販売促進担当は商売をする上での有効性を一番に考えることが肝要です。
企業価値の向上等は、どれだけ売れてそれが評判となった結果だと割り切るくら いで、
良いと思います。
お金をかけて作ったデザインブランド、商品やサービスが好評で自然に出来上 がった評判ブラ ンドなど、
ブランドが成立するプロセスも幾通りかあります。
企業ブランドは、一番商売から遠いところにありますが、経営層の関心の高さから、
企業の中枢にいる広報で取扱い、一番費用を掛けやすくなっている場合が多いと 思います。
販売促進では、事業ブランド、商品カテゴリー(シリーズ商品)ブランド、単品製品のブランド等を扱い、
商売に直結しています。
企業ブランドが商売での実効力を発揮出来るためには、相当の投資が必要です。リクルート等では大きなアドバンスとなる可能性があります。
事業側でのブランド作りは、費用原価に直結するので、
あまりコストを掛けません。その商品の評判がブランドを作ります。そう考えると企業ブランドは商品の良さが幾重にも重なって自然に出来てくるブランドが本物なのでしょう。

販売促進の基本:業界構造

これを読んでいる企業で販売促進を担当している方、おめでとうございます。
あなたは、広告、印刷業界ではトップ階層である、クライアント企業の担当者です。
クライアントは神でさえあります。
かつて、最下層にいた人間だから良くわかるのです。
クライアントの下に広告会社(広告代理店)、制作会社、印刷会社、紙・インク会社等がひ
しめきます。
広告会社に発注したものは、業務分解されて下請けに再発注されます。
業界のヒエラルキーは以下の通りです。
クライアント企業→広告会社→制作会社(デザイン・コピー等)→印刷会社→下請け
広告会社と制作会社の違いは、雑誌、新聞、テレビ等のメディアにコネクション があるかどうかです。
当然、多くの広告を取り扱っている方が有利に広告を出すことが可能です。
制作会社にはディレクターがいて、デザイナーやコピーライター、カメラマン等 でチームを作って、
制作実務を進めていきます。
印刷会社にも大手にはデザイナーがいますが、作風が固定化しているために、
面白味のあるコンテンツを継続的に制作することが難しいのが現状です。
制作会社には、カタログ中心、ビデオ中心、展示会中心等コンテンツによって、
得意分野があり、それぞれに下請けできる人材とつながっています。


販売促進の基本:印刷

商業印刷ではオフセット印刷が主流です。発色が美しく、低コストで大量に印刷 することが可能です。
基本は、黄、青、黒、赤の4色で印刷しますが、
黄:Y(yellow),藍:C(cian),黒:B(black),赤M(magenada)と言います。
印刷機はチラシなど大量印刷むけの輪転機、また店頭壁張りポスター等、
調整しながら美しい発色を可能にする平版印刷 があります。
かつては、紙で版下を作り撮影してフィルムにして、
各4色のすり色別に4枚の製版フィルムを作成する工程がありましたが、
今はCTP(Computer To Plate)が主流となっています。
これは、MaC等PCで作成したデジタルデータから直接印刷します。
印刷での色の調整は出来ませんが、工程を大幅に短縮しているので、
安くて速いのが特色です。
印刷用紙は、薬剤を使って発色を良くしたアート/コート系から、柔らかい発色 が可能なマット系、
紙色が白く美しいものや、はがきや水に強い等の特色を持つものまでさまざまです。
また、紙は大判時の重さで厚さを表わします。チラシのように安価に大量に使用 するものから、
会社案内のように、ゆっくり丁寧に見せたいものまで、印刷物の目的によって選 定します。
さらに、刷った後に、フィルムを貼ったり、蠟引きにしたりすることで、
より一層の表現力や耐久性等を得られます。
また、ステッカー等には張付け場所の環境にもよりますが、
例えば水分に強いユポ紙を使用する場合等もあります。

販売促進の基本:広告

販売促進担当者が身に着けておくべき基本的な知識があります。
広告の一般知識は基本中の基本です。
広告にはメディアの違いによりそれぞれ特徴があります。新聞、雑誌等の紙媒体から、ラジオ、TV等の電波。
電車やバス、そして駅に出す交通広告。イベント会場や建物に付ける看板広告。
そして今や常識となったWeb広告等、
媒体毎のメリット・デメリットや出稿までの手順、費用、主要業者等その違いの 認識が必要です。
また、内容の違いとしては、企業広告、商品広告、事業広告、啓蒙広告等があり、
商品広告では単品なのか、シリーズや何かの商品分類なのかで違いもあります。
さらに、キャンペーンや展示会等のタイミングに合わせた特殊なものもあります。
広告を出す代わりに記事を書くと言った抱合せ企画は、広告会社や雑誌社が良く 売り込んできます。
記事風に商品を説明して広告とするペイドパブ等もあり、多彩な手段があります。

販売促進と広報の違い

ときおり販売促進を広報と一緒にしている人がいますが、
歴然とした違いがあります。
広報はあくまで、企業と社会のコミュニケーションです。
そして販売促進は、企業と市場(マーケティング)のコミュニケーションです。
販売促進は、商品を売るための投資となります。
いわば、その事業や商品の価値を高めるのが仕事となります。
広報は、企業そのものの価値を高めます。
広報で広く社会に知ってもらい、良い企業イメージを浸透させることは、
具体的な商品を販売する際にベースとなります。
その上に、個々の事業や商品で実際的な価値訴求をしていきます。

分かりやすく言えば、広報は企業のスポークス担当であり、
販促は、宣伝担当です。
お金を払って(投資して)商品をよりたくさん売れるようにすることが仕事です。